春の自転車旅2010 その1  自宅ー日光

子供の頃に感じる未知への期待感と大人になって感じる危険への恐怖心のせいなのか前夜は遅くまで寝付けなかった。

 

今日からは昨年の秋の能登ツアー以来のロングライド。一日目の今日は日光まで。いつものように入間川CRから荒川CRに入る。快晴。気持ちのいい風を感じながらいつもどおりにいつもどおりのコースを走った。大芦橋を渡って熊谷に。ここまでは何回か来たことがある。


そして利根川にかかる刀水橋を渡って大田市。ここはブラジル人の町と言われているがその雰囲気がある場所は通らなかった。ただ、市内に自転車専用のレーンがしっかりとあった。総じて栃木県の道は自転車専用のスペースが充実しているような感じがした。自転車パワーがあるのかな?


この辺まで来ると交通量はめっきりと少なくなる。そして、桐生市。かつて織物の町として栄えたこの町も今は閉じたお店が多く寂しい。少し進むと平成の合併でできたと思われるみどり市。さびれた町並みの中にあった。「大間々博物館」、3Dパノラマ、なんていう宣伝文句がかかれている。多分、昔の地方交付金で作ったのでしょう。


この辺からは「わ鉄」と呼ばれる「わたらせ渓谷鉄道」と平行する122号。いよいよ楽しみにしていたわたらせ渓谷に入った。ところが道路は渓谷の上のほうを走り、鉄道は渓谷の下のほうを走っているので列車はおろか線路もなかなか見えてこない。したがって駅舎も道路の下のほうにある。別に「鉄っちゃん」ではないが話の種に駅舎、電車の写真を取りたいがずっと下のほうに下ると登り返すのが大変そうなので躊躇していた。高みから見る渓谷はそれなりに綺麗だがたぶん紅葉の時期とくらべたら雲泥の差があることでしょう。


しばらく進むとようやく鉄道と道路が同じ目線になってきた。原向駅に立ち寄ってみた。いわずと知れた無人駅。時刻表をみるとあと8分で列車がやってくる。ラッキー。で、待つことにした。警笛が聞こえていよいよ一両編成の列車が見えてきた。急いでデジカメを取り出しいざ写そうとしたところ「レンズエラー」の表示。見るとレンズの端が傷着いていてレンズが飛び出ない状態。何ということか。さっきまで写せていたのに、とがっかりしたがしっかりと列車は目に焼き付けた。とりあえず無人の待合室だけは写せた。わたらせ渓谷を走る122は日光までの抜け道になっているので時々大型車が通過する。道幅はそれなりにあるのでまずまず走りやすい。


途中で、大好きな星野富弘の作品を集めた「富弘美術館」に立ち寄った。若いときに器械体操中の事故で体の自由がきかなくなりその後苦労の末に絵筆を口にくわえてすばらしい絵と詩を書けるようになった。絵ももちろんのことそれに添えられた短い一言がすばらしい。実に素直に現実を見つめて素直に自分の気持ちを表現している。力の入らないすばらしい一言が書かれている。美術館も草木湖の自然を生かした造りになっていてすばらしかった。

http://www.tomihiro.jp/index.html
美術館をでるころは雲が広がっていた。足尾銅山を通過する頃には雨が降ってきた。あれほどの好天だったにもかかわらず。そういえばこの辺は山の中。高度も1000m近い。


そして今日一番の難所である日足トンネル。ゆるい下りが2Km続く。トンネルの中は車道に路肩がない、側道は幅が1mくらい。左側は壁。右側は段差が20cmくらいで車道になる。事前に調べたこのトンネルは自転車にとって危険箇所として有名らしい。当初から側道を走るつもりでいたのでしばらく進んでみた。左に壁が近くしかも右には寄れない。段差から落ちると落車事故になりそう。そこに車が来たら?などと考えると恐怖心がいっぱい。交通量がそれほど多くないようなので思い切って車道に下りて走ることにした。トラフィックには息があるようだ。5~6台が団子状になって走り去ると次の団子までは5~10分くらいあることがわかった。ひとつの集団が過ぎ去った直後に一気に飛ばして下った。幸い次の集団は追いついてこなかった。トンネル出たときはなんともいえない安堵感。ところが雨が強くなっていた。


トンネルを抜けるとそこは青空だった、なんて期待していたので残念。そこでウインドブレーカを着込むことにした。その際にMTBを上に積んだ車が一台通り過ぎるのに気がついた。トンネルからは一気に日光までの下りになる。高度1000m近い山中での雨、寒い。滑らないようにゆっくりと下っていくと途中の駐車場からあのMTBを積んだ車がしずかに寄ってきて併走した。左の窓を開け、「大丈夫ですか?」と聞いてきた。外人だがじょうずな日本語。雨を心配して載せてくれるつもりらしい。でも「大丈夫、ありがとう!」と言って別れた。ありがたい。


日光に入って神橋付近でも雨が続いた。日光駅までくると止んでいた。ウインドブレーカは濡れて体が冷えた。半切りグローブの手も冷え込んだ。日光街道のバイパスに入ってみるとこれが実にが快適に走れた。道は乾いているし車も少なく下り基調の道を高速で走っているうちにウインドブレーカは乾いてきた。今夜は今市駅前の旅館を予約してあるので安心して楽しく走った。
今市に近くなったところでEdge705で近くの電気店、コジマ電器を見つけた。デジカメを購入。これからのツーリングを考えるとデジカメなしではちょっと心残りなので購入。それにしてもこんなに簡単に電気店を探せるなんてEdge705って便利だね。感激。


今夜の旅館は綺麗に整備された駅前の老舗。モノトーンで統一された木造のシックな旅館。あまり期待してなかっただけにうれしかった。濡れた靴下などを洗濯して熱い風呂で体を温めた。ほっと生き返った。こうしたツーリングの時にはたいがいの駅前にある旅館が役に立つ。民宿は営業していないときがあるがこうした駅前旅館はまず大丈夫。当日でも泊まれるので助かる。と言うことで一日目が終わった。175Km.

 

 

翌日に続く