伊南川100kmウルトラ遠足の会津は今日も雨でした。

えっ、初めてのウルトラがこれ伊南川100kmウルトラ遠足ですか」「最初だったら別のにしたらどうですか」。。。。と言うのが大会前にお会いしたベテランランナー諸氏からの反応。確かに大変でした。

 

何しろまず40Km先の標高1700の沼山峠まで1000m以上の登り。そしてここを下ったあと65Km走った挙句に改めて400mの峠越えがある。さらに、疲れ切った95Kmの地点でちらっとゴールを見てからさらに真っ暗な山道を一旦登らされてようやくゴール。こんなウルトラマラソンのコースはどこにもない。

 

 

そんなウルトラ初挑戦はこれまでになく疲れました。それでも走れたのは、5Km間隔であるエイドステーション。ボランティアの方々が飲み物、食べ物を用意してくれました。疲れて走るのを止めたいと思ったときに、さあ次にエイドまで頑張ろう。そうすれば休む口実ができる。そうして花から花へと飛ぶ蝶のように距離を延ばすことができた。そしてもう一つ。素晴らしい紅葉した木々。これがまさにこの大会に参加する動機だった。どこを見ても紅葉、紅葉。まさに紅葉の胎内に包まれたような一日だった。こんな一日を過ごせたことが幸せだった。

 

22日の早朝5時に出発。天気予報通りに雨。霧雨状態なので走るには支障がない。参加者は約300人。ライトを点けた集団が暗い街中を走りだした。

 

会津には自転車で三回ほど来ているがかならず雨に降られている。今回も同じだ。

 

雨対策は各人各様。私は。ビニールの袋に穴を空けてかぶっていいる方も多い。これが定番らしい。

 

10Km,20Km。しばらくは沼田街道を進む。周囲の山々は紅葉が始まっている。

 

エイドステーションはすべて地元のボランティアが運営。豊富に食料を提供してくれた。近所の方々も応援に出ている。都会のマラソン大会と違って人口のすくないこの地方ではさすがに応援の人も少ない。おばあさんもこっそりと応援してくれていた。写真を撮っていいですかと聞くと「あはは、こんな年寄りを」と笑った。

 

 

30Km地点の七入から山道に入る。ここは国立公園内になるので原則的に走らずに歩くことになっている。このトレールが約7Km。一気に600m登る。ここがよかった。きれいな紅葉の林の中、ふかふかの落ち葉の上を歩いた。トレールを歩き登ることに慣れてないマラソンランナーは難儀していたが私は楽しかった。ここで数十人を追い越したようなきがする。

 

登りついたところが標高1700mの沼山峠。昨年自転車で訪れたことを思い出した。今日は天候のせいか閑散としていた。原発のせいか今年は尾瀬の入山者も減っているとか。風評被害だ。

 

あのときはこの辺が紅葉の真っ盛りだったが今年は終わりかけていた。ここから御池までは約10Km。バス、自転車のみ侵入できる道だ。道すがらは紅葉が終わって枯葉がまっていた。

 

 

しばらく止んでいた雨が御池に着く直前にまた降ってきた。

 

そして御池から再び沼田街道に入り下りにかかったころの土砂降りになった。それでもここからの下りは豪華な紅葉にこころが安らいだ。

 

 

トレールに入った地点、七入に戻ったのが12:30ころ。ここまでで53K。ここが中間地点だ。ここまでは快調だった。トレールで何十人も追い越し、御池からの下りも快調にはしれて何人も追い越した。あんなにきれいな紅葉の世界につつまれて走ることが今回の大会の一番の楽しみだった。それが今実現しこの時間をなんとも大事にしたいという思いが強かった。ずっとこの時間を持っていたいと思った。

 

そしてここ七入のエイドに到着したころには待望の太陽がでてきた。ここで預けておいた着替えに着替えて気分転換。そしてトン汁、おにぎりで昼食。ここまでは実に順調。

 

食事も終わって出かけたが走る気力がなかなか湧かない。疲れているのが分かった。何しろ50Km以上も走ってきたので当然だ。練習でも50Kmまでしか走ったことがない。未知の世界に入ったわけだ。しばらく歩いた。この辺から参加者がばらけた前後に見える参加者のかずが極端に少なくなった。頑張って13kmほど走ると新たな登りが始まった。

 

 

木賊温泉に通じる林道の始まりだ。ここからの10Kmの登り坂が一番つらかった。走れない。歩くしかなかった。遠くに見える参加者も皆歩いているのを見てすこしだけ気が楽になった。峠の手前に一人の老人が車を止めて私設エイドステーション的にコーラを振るまってくれていた。疲れ切ったからだに力が少しだけ入った。峠のトンネルを抜けると長い下り。さすがに足は自然に前に出るが怖くて速く走れない。ようやくの思いでゆっくりと走り降りた。林道の始まりから木賊温泉までの12Kmは人家もない寂しい林道だった。前後に誰も見えない。一人、黙々と薄暗くなった林道を走った。まるで歩くようなスピードだ。

 

途中の木賊温泉は秘境の湯として知られる。ここにもエイドがあった地元の高校生と思える若者が手伝ってくれていた。こうした田舎で若者が元気でいてくれるとほっとする。この辺で残りが23Km。なんとかゴールまでたどり着けそうだ。

 

林道をひた走り、国道352に出たころには暗くなりライトを取り出して使った。この辺で83Km。</span>残りが17Km。この頃になって同行者がでてほぼ一緒に走った。真っ暗な国道。時々通る車のライトに照らされた。田舎の国道は歩道がない。なんとか車によけてほしいと願いつつ、よたよたと二人で走った。<span style="color: #800080;">走っているが私の早足で歩く速度とあまり変わらない。歩いたり走ったり、の繰り返し。</span>前半はあれぼど好調にはしれたのに、と思いながらただひたすら走り、歩いた。

 

そしてようやくにして街灯が見える街中に入った。95km地点を通過するときに左奥に出発点でありゴールである伊奈小学校の大銀杏がライトアップされているのが見えたゴールする選手の名前を呼び上げているのが聞こえる。ああ、なんとかたどりついた。と、思うが実際はさらにまだ5Kmある。元気ならば30分で楽に走れる距離だ。でも。。。。ゴールを横目に見てさらに国道を2Km。そこから田舎道にはいり、さらに真っ暗な砂利道を1kmほど進む。ここには地元の方々が案内用にと手作りのランタンを並べておいてくれた。真っ暗な中に一家族が私設エイドを用意してくれていた。ここで水をいただいた。ありがたい。

 

 

さらに真っ暗な山道も走らされた。そうしてようやく遠くにライトアップされた大銀杏が遠くに見えてきた。やれやれ。

 

前後には相変わらずランナーは殆どいない。ゴールである伊奈小学校に近づくと多くの人が集まっていた。そしてゴールになるゲートへの花道が用意してあった。

 

「ゼッケン247番新井さん、ただいま到着です。お疲れ様でした。ライトを消してにっこりと笑ってゴールしてください」とアナウンス。大きく手をあげてゴールのテープを切ったのが7:30ころ。14時間25分。制限時間まで1時間35分残してゴールできた。

 

 

そこにこの大会の主催者、海宝さんが迎えてくれた。そしてがっちりと握手。短時間だったがいろいろな話をした。こうしてゴールする一人一人と話をしていた。彼は50歳の時にアメリカ大陸4700Kmを二か月かけて走るレースに参加して完走したとか。各地でウルトラマラソンの大会を企画実行している。

 

 

終わった。でもそれほどの感激はなかった。やっとあの辛さから解放されたという安ど感でどっぷり</span>。ゴールしたとたん急に寒さを感じた。迎えに来てくれていた民宿の若主人に送ってもらって民宿に。長いあいだ湯に浸かって生き返った。

 

また走るか?たぶん。ウルトラマラソンは旅です。また旅人になっていろいろな所に行ってみたい。